科目専任制のメリットとしてよく挙げられることは、1つの科目を深く勉強している先生に教わることで、より質の高い授業ができるというものです。これは専門性の高い大学の研究などのようなものであれば、幾分納得感があるのですが、中学校の勉強においては、むしろ逆ではないかと思っています。
つまり、1つの科目に集中することは、他の科目との関係性を断っているため、より質の高い授業を提供しにくい、というのが私の考えです。
たとえば理科では、数学で習う三平方の定理や関数の知識を数多く利用します。社会の気候の話は、理科の熱の単元と密接に関わっています。また、神奈川県の高校受験で行われる特色検査では、5教科横断型の問題が出されます。こういった問題は科目専任制では、非常に教えることが難しいです。
なぜなら「英語で書かれた文章を数学の知識を使って理科の問題を解く」といった複雑に科目が絡み合った問題が出されるからです。この場合、指導するのは英語の先生でしょうか?理科の先生でしょうか?数学の先生でしょうか?
各科目の関連性・繋がりを意識した授業(科目横断制と呼ぶことにします)と、科目専任制の授業とでは、前者の方が質の高い授業であると思わないでしょうか?
また、神奈川の特色検査採用校が増えていることを考えると、高校受験では、5教科横断型の知識がより求められている、そして今後さらにその傾向が強くなるように思います。
1つのことに詳しいスペシャリストではなく、5教科全てに精通しているジェネラリストを、高校受験では求めているのではないでしょうか。