複雑な神奈川県公立高校入試の仕組みを解説します 投稿者 塾投稿日: 神奈川県高校入試の流れ(2021年度) 願書提出日:1月28日・29日・2月1日願書と面接シートを提出します。志願変更日:2月4日・5日・8日各高校の倍率が速報として高校に貼り出されるので、その結果を見て最大1回まで志願変更ができます。第一志望の高校が想定以上の高倍率の場合、倍率の低い高校に変更するのも1つの手でしょう。学力検査:2月15日一部の専門学科以外は、5教科の試験です。面接・特色検査:2月15日・16日・17日普通科で特色検査を実施している高校は偏差値の高い高校のみです。合格発表日:3月1日 複雑な理由1「いつの内申点が使われるの?」 高校受験で使用される内申点は、ほぼ全ての都道府県で「中学3年間」か「中3のみ」となっています。ただ、神奈川県はそのどちらでもなく、中2・中3の内申が使用されます。 1・2・3学期制の中学校 2年3学期:5段階×9教科=45点満点3年2学期:5段階×9教科×2=90点満点合計135点満点 前期・後期制の中学校 2年後期:5段階×9教科=45点満点3年11月末頃に出る仮内申:5段階×9教科×2=90点満点合計135点満点 複雑な理由2「1次募集・1次選考・2次募集・2次選考とは?」 1次募集・2次募集とは? 1次募集:1回目の募集。普通はこの1回だけですが、定員が集まらなかった場合のみ2次募集を行います。2次募集:1次募集で定員に満たなかった高校だけが実施する2回目の募集。1次募集で受験生を集められなかった高校=偏差値の低い高校が多いです。 1次選考・2次選考とは? 非常にややこしいのですが、神奈川県の公立高校入試では、1次募集で集めた受験生のうち、1次選考で募集定員の90%が合格し、2次選考で残りの10%が合格します。 1次選考では、学力調査・内申点・面接・(特色検査)の全ての点数が評価対象ですが、2次選考では内申点が評価対象から除外されます。つまり神奈川県は、内申点の低い受験生へ救済措置を取っているのです。たった10%ではありますが、内申点がどんなに低くても、県内トップの翠嵐高校に合格することができるのです。なお、1次選考も2次選考も選ぶ基準が異なるだけで、追加の試験があるわけではありません。また受験生は自分が1次選考で受かったのか2次選考で受かったのかは分かりません。 募集定員300人の高校に500人受験した場合 1次選考学力調査・内申点・面接・(特色検査)の合計点の高い順に、募集定員の90%に達するまで合格を与えます。2次選考:1次選考で合格を与えた90%の受験生以外を再度、学力調査・面接・(特色検査)の合計点の高い順に並べ直し、募集定員の10%に達するまで合格を与えます。 複雑な理由3「S値の計算が学校ごとに異なる」 合否を決めるS値とは? 神奈川県の公立高校入試では、学力調査・内申点・面接点・(特色検査)の合計点で判定されます。それらの合計値をS値と言います。さらに細かく分類すると、1次選考のデータを基に算出したS1値、2次選考のデータを基に算出したS2値があります。2次選考は内申点が考慮されないので、S2値に内申点は入っていません。その分、学力調査の点数が高くなっています。 S値の最大値は学校ごとに異なる 下の表を見てお分かりの通り、翠嵐高校と新城高校では、S値の最大値が異なります。翠嵐高校は1200点、新城高校は1000点です。これは翠嵐高校が特色検査を行っているからであり、その分200点新城高校よりも高くなっています。なお特色検査は必ず200点というわけではなく、100点の学校もあります。各高校のS値の最大値が異なることも、神奈川県の高校入試が複雑な理由と言えます。 S値の内訳も高校ごとに異なる S値は最大値だけでなく、内訳も異なります。例えば住吉高校は内申点300点、学力調査500点、面接200点(これを352型と言います)ですが、大師高校は、内申点500点、学力調査300点、面接200点(これを532型と言います)です。県内で最も多い型は内申点400点、学力調査400点、面接200点の442型です。442型の場合、135点満点の内申点を400点に拡張し、500点満点の学力調査を400点に圧縮します。 内申点1点の重み S値の内訳が異なるということは、内申点1点に対する学力調査の点数も学校ごとに異なるということです。下の2人を参考に考えてみましょう。 たとえば、翠嵐高校の262型の場合、内申点1点の差が学力調査1.23点に相当するので、BさんがAさんを超えるためには、14点多く試験で得点しないといけません。262型は最も内申比重が小さいので、この程度で済みます。一方532型の場合、内申点1点の差が学力調査6.17点に相当するので、BさんがAさんを超えるためには、68点多く取らないといけません。 上の表は、内申点1点に対する学力調査の点数を型ごとにまとめたものです。内申重視型の高校を受ける場合は、定期テスト対策や提出物などを丁寧に行い、1点でも内申点を上げるよう心がけてください。逆に学力調査重視型の高校を受ける場合は、過去問をたくさん解いて、当日のテストに全力を尽くしましょう。 複雑な理由4「重点化が学校ごとに異なる」 神奈川県の公立高校入試では内申点や学力調査の重点化が認められています。重点化とは、特定教科の内申点や学力調査点の満点を高くすることです。例えば、英語の学力調査に2倍の重点化がかかれば、英語は200点満点となるので、5教科600点満点となります。ご自身の志望校が重点化をしているのかどうかは、必ず調べてください。そして重点化教科は特に念入りに対策をしましょう。 内申点の重点化 特定教科の内申点を1.2倍〜2倍にする制度。 学力調査の重点化 特定教科の学力調査点を1.2倍〜2倍にする制度。 複雑な理由5「面接点の差が出ない高校がある」 面接は多くの高校で200点を占める重要な選考方法の1つですが、中には全員面接点が同じ高校があります。何のための選考なのか疑問は残りますが、数分話をしただけで、点数をつけるというのは難しいのでしょう。そのため、全員一律の点数になるわけです。このような面接点で差が出ない高校を受ける場合は、(面接点で差が出るかどうかは通われている塾の先生に聞いてください)面接の対策は最小限にし、試験勉強にとことん時間を使いましょう。 複雑な理由6「学区制限を設けている市立高校がある」 一部の市立高校は、市外からの受験生を制限しています。例えば、川崎市立の橘高校(普通科)や高津高校は、川崎市外からの合格者は定員の8%までと決められています。一方で川崎市立の川崎総合科学高校や、横浜市立の横浜サイエンスフロンティア高校などは、川崎市外・横浜市外からの合格者の制限はしていません。