中学生の読解力を鍛える方法 投稿者 塾投稿日: 読解力テストで生徒の学力が測れる もし5分で、生徒の国語・数学・英語・理科・社会の5教科の学力を調べるとしたら、あなたならどうしますか?5教科の問題を1問ずつ出して、学力を測りますか?さまざまな意見があるかもしれないですが、当塾では読解力テストで5教科のスコアが測れると思っています。先日生徒全員に7問の読解力テストを行ってみたところ、正解数の多い順=学力の高い順となりました。つまり読解力テストと学力には大きな相関があると考えられます。読解力テストというと、国語の点数にしか直結しないと思われがちですが、高校入試の問題では国語だけでなく、その他の科目でも必ず読解力を試す問題が出ます。このような問題は前提知識を必要としません。例えば、次のような問題は高校受験の社会の問題と形式が同じです。(答えは当ブログの後半にあります) 参照:https://u-ff.com/reading-skill-widenashow/ 読解力を問う問題は前提知識不要=得点しやすい 毎年高校受験では読解力を問う問題がどの教科でも出題されます。読解力問題は前提知識を必要としないため、表や文章を見れば答えが分かります。つまり日本語が読めれば(理解できれば)、満点が取れるはずです。しかし実際の正答率は全然高くありません。読解力テストの点数と、学力に相関があるということは、最近の高校入試に「ちゃんと日本語が読めるかどうか」を問う問題が多いということです。そのため日本語が読めない生徒は、全教科で失点してしまい、高得点が取れないのです。 日本語が読めない生徒はどう読んでいるのか ちなみに先ほどの問題の正解は②ですが、③と④を選ぶ生徒が大半でした。間違えた生徒にどうやって解いたか聞いたところ…「アメリカが28%でドミニカが35%だから④にした。」「ドミニカが35%と書いてあったから③にした」などの答えが多かったです。つまり、文章を丁寧に読むことができず、部分的に読んだり・数字にのみ反応していることが分かります。ちなみにこのタイプの生徒は調べ物ができない傾向にあります。たとえば、スマホで調べ物をさせると、ウィキペディアなどを見つけることまではできるのですが、ページ内の冒頭の説明を読み始めた途端、いきなり文章の途中まで飛ばして、後半部分を読もうとします。本人曰く、「最初の方には書いてないと思ったから」とのことです。長い文章に耐えられない傾向にあります。 【対策1】主観的な言葉を使わず数字を使う 我々は学習塾なので、問題点があれば、どうやってその問題を克服するのか考えなくてはなりません。今回の問題点は「どうやって日本語を丁寧に読ませるか?」です。当塾では3つの策が効果的だと考えています。まずは、客観的な言葉を使うことです。たとえば宿題を「あとで出します」から「30分後に出します」と伝えるようにしなくてはなりません。このように、主観的な言葉から客観的な言葉を使うように意識させることが大事だと思います。正確に文章を読むためには、正確な日本語を日頃から使う必要があります。当塾では、日頃から客観的な言葉を使うように意識させています。例えばテストが返却された後の振り返りで「今回のテストはまぁまぁ出来たから良かった」では不十分です。「今回のテストは、平均点が60点の中でそれより12点高かったから良かった。」あるいは、「前回が55点だったのが、今回は72点になったので良かった」のように伝えさせます。 【対策2】音読をする 音読は「飛ばし読み」の矯正に有効です。先ほどお伝えした生徒もそうですが、ちゃんと日本語が読めない生徒の多くは、飛ばし読みをしています。文を冒頭から丁寧に追っていくのではなく、一部の単語だけを拾いながら読んでいくような読み方が癖になってしまっているので、一語一語丁寧に読む音読が効果的です。 【対策3】要約をする 書いてある内容から重要な部分を書き出す要約は、読解力のトレーニングに非常に効果的です。ただし注意点があります。それは要約した内容をチェックする人がいること。対策1や対策2と異なり、要約は正しいフィードバックがなければ、ただ文章を短くしただけになりかねないです。そのため、必ずチェックをする人や採点をする人が必要です。当塾では3年生の入試対策授業を中心に要約問題を出しています。長い文章であっても、主語と述語の関係を把握し、修飾語をできる限り削って要約は作成されます。生徒1人で行うのは難しいので、親御さんによるフィードバックがなかなかできないようでしたら、塾や学校の先生に頼むのが良いでしょう。 まとめ 日本語を正しく読み、理解することができれば、高校入試で得点できる問題が増えます。最近の傾向としては、一問一答形式の問題よりも、読解力を問う問題が出される傾向にあります。たとえば今年の神奈川県高校入試の社会における問3や問5の問題は「表から読み取れること」を聞いています。つまり、表に書いてある日本語さえ理解できれば、歴史や地理の知識は要らないのです。こういう問題は絶対に落としたくないですね。生徒の志望校合格を狙う我々としては「取れる問題で落とさない」ように指導することが重要です。そのため読解力の養成に引き続き力を入れていきたいと思います。